2024年3月25日 (月)
●高齢者の歯とお口の特徴
高齢になると、身体の機能が低下するとともにお口にも若い時と違った変化が出てきます。
まずは、その変化について見てみましょう。
・噛む力、飲み込む力が低下する
食べ物を噛んで飲み込む過程には、舌やお口まわりの筋力が緊密にかかわっています。
筋力が衰えてこの飲み込む力が低下すると、飲食物が誤って気管に入り、むせたり、
誤嚥性肺炎を引き起こしたりします。
また、歯がグラグラしたり、歯の本数が減ったり、入れ歯が合わなかったりすると、
食べ物を噛みくだきにくくなり、咀嚼機能が低下します。
・唾液の量が減る
唾液はお口の中を潤わせることで、酸によって溶けた歯の表面を修復したり(再石灰化)、
歯肉や粘膜の乾燥を防いで傷つきにくくしています。咀嚼した食べ物を飲み込みやすくし、
消化を手助けするなどの大切な役割がたくさんあります。
なぜ、唾液は加齢で減少するのでしょうか。それは噛む力の低下や薬剤の影響などで、
分泌量が減ってくるからです。唾液が出にくくなるとお口の中が乾燥し、むし歯や
歯周病、口内炎にもなりやすくなります。
・舌の機能が低下する
舌の主な動きは、味覚と食物を摂取ことです。
舌の表面にある1万個ほどの「味蕾」という器官で味を感じ、唾液の分泌を
促しながら、食べ物の消化と吸収を助けています。
舌は噛みくだいた食べ物を咀嚼し、飲み込みやすい形状(食塊・しょくかい)にして、
お口から咽頭へ送るという重要な動きをしています。
このような非常に複雑な働きによって、体に必要なエネルギーや栄養素を取り込むことが
できているのです。加齢によってこれらの舌の動きが衰えると、食べ物を噛みくだき、
咀嚼し、飲み込みやすい形状にした食塊を送るという一連の動きに障害が生じます。
また、味蕾の数も減り、味を感じにくくなり、食事を味わう楽しみが減少していきます。
高齢になると、若いときとは違って、歯だけではなくお口全体にいろいろな変化が出てくるのです。
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